background

「コーチング・メソッド®」誕生の背景

KECの「コーチング・メソッド」誕生の背景には、「コーチング」「言語コーチング」「外国語/第二言語教授法」が深く関わっています。
ご参考までに、以下に簡単な解説を載せておきます。

コーチングとは

コーチングは「対話を重ねることを通して、クライアントが目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセス」と定義されています(コーチエイ. 2009. p.12)。スポーツの世界ではおなじみの「コーチ」ですが、もともとは乗合馬車のことで、のちに「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味が派生したといわれています(本間・松瀬. 2006.p.25)。

ICF (International Coach Federation: 国際コーチ連盟)ではコーチングを「クライアントとともに、クライアントの思考や想像力を刺激しながら、クライアントの可能性を最大に引き出すこと」と定義し、コーチの義務として以下の4つを挙げています。

コーチの義務
– Discover, clarify, and align with what the client wants to achieve
(クライアントが達成したいことを発見し、それを明確にして、連携する)
– Encourage client self-discovery
(クライアントの自己発見を促す)
– Elicit client-generated solutions and strategies
(クライアントに解決策やストラテジーを考えさせ、それを引き出す)
– Hold the client responsible and accountable
(クライアント自身に責任を持たせる)

コーチングに関する書籍や資料はたくさんありますから、ぜひいろいろ読んでみてください。

参考文献:
International Coach Federation. (n.d.). What is professional coaching? Retrieved March 19, 2016 from http://coachfederation.org/need/landing.cfm?ItemNumber=978
Paling, R. M. (2017). Neurolanguage Coaching: Brain Friendly Language Learning. Gloucester, UK: The Choir Press.
Rock, D. (2007). Quiet leadership: Six steps to transforming performance at work. New York: HarperCollins.
コーチエイ. (2009). コーチングの基本. 日本実業出版社.
本間正人・松瀬理保. (2006). コーチング入門. 日本経済新聞出版社.


言語コーチングとは

言語コーチングの第一人者 Rachel Paling は「言語コーチング」を次のように定義しています。

“Language Coaching is the efficient and fast transfer of language knowledge from the Language Coach to the Language Coachee with sustainable effects facilitated by brain based coaching and coaching principles.”

(言語コーチングとは、脳科学に基づくコーチングの技法やコーチングの原理による持続的な効果を伴いながら、言語に関する知識を言語コーチから受講生へと速く効率的に届けるものである。)

言語コーチングは、脳科学に基づくコーチングの技法や原理を言語教育に取り入れた、一歩先を行く新しい言語教授法です。学習者にピッタリあった学習法を提供することで、従来の言語教授法では難しかった効率の良い学習を実現することができます。詳しい内容を動画で説明しています。画面右下の「CC」をクリックして「日本語」を選択すると日本語字幕付きでご覧いただけます。(字幕翻訳:KEC 神谷えみ)

『言語コーチングとは』
(Neurolanguage Coaching®は、米国およびヨーロッパで登録されたRachel Marie Palingの商標です。)

『言語コーチング ― 言語学習・言語教育の新しいアプローチ』

セッション例
#1:法人受講「仕事で英語が必要。読み書きはいいんだけど会話が…」という学習者の場合

#2:個人受講「言語学習なんて、年齢的にもう遅いんじゃないかしら…」という学習者の場合

参考文献:
Paling, R. M. (2012). What is language coaching? Retrieved November 25, 2013 from http://www.languagecoachingcertification.com/language-coaching
Paling, R. M. (2013). The differences between language teaching and language coaching. Retrieved November 25, 2013 from http://www.languagecoachingcertification.com/differences-language-teaching-and-language-coaching


主な外国語/第二言語教授法

外国語や第二言語の教授法にはさまざまなものがあります。
それぞれに有効な点があり、時代の流れとともに変わる教育的なニーズに応じて開発され、発展、衰退してきました。

よく知られている主な教授法には以下のようなものがあります。
学校で英語を習った方法や、英会話学校の方針、教材の特徴などを振り返ると、その背景にある教授法が見えてくるかもしれません。

KECのコーチングでは学習者の目的や状況に応じて、各教授法の利点を組み合わせて使っています。

文法訳読法 (Grammar-Translation Method)

ヨーロッパでラテン語の文法を学ぶ目的で開発。
外国語学習に応用され、20世紀中頃まで教授法として広く使われる。

直接法 (Direct Methods)

文法訳読法への反動として、子どもが母語を習得する過程をモデルに開発。
スピーキング能力の向上を重視。

オーラル・アプローチ (Oral Approach)

直接法を基盤に開発。
構造主義に基づき、文型学習や口頭練習を重視。
これを受け、日本では1960年代にテープレコーダやLL教室を使った英語教育が盛んになった。

オーディオリンガル法 (Audio-lingual Method)

オーラル・アプローチ同様、直接法を基盤に開発され、口頭練習を重視。
行動主義に基づき、反復・ドリル練習による習得を推進。

トータル・フィジカル・レスポンス (Total Physical Response)

全身反応教授法。
子どもが母語を習得する過程をモデルに、言語学習は聞くことから始まると考えた。
学習者は与えられた指示に対し、意味を理解し、動作で示す。

サジェストペディア (Suggestopedia)

リラックスした環境で心理的な障壁を取り払い、脳を学習に適した状態にして記憶力を向上させ、暗記などの学習を速く効果的に行う方法。

コミュニカティブアプローチ (Communicative Approach)

オーディオリンガルなどの機械的な練習への批判から開発。
インフォメーション・ギャップのある場面を作り、ロールプレイなどの実践的な練習を重視。

eラーニング (E-learning, Computer-Mediated Learning)

コンピュータや通信技術の発達により開発。
教師と学習者、または学習者間でのコミュニケーションを可能にし、学習者の自学自習を促進。

参考文献:
Mitchell, R. & Myles, F. (2004). Second language learning theories (2nd ed.). London: Arnold.
Richards, J. C., & Rodgers, T. S. (2001). Approaches and methods in language teaching (2nd ed.). Cambridge: Cambridge University Press.
Saville-Troike, M. (2006). Introducing second language acquisition. Cambridge: Cambridge University Press.
江利川春雄. (2008). 日本人は英語をどう学んできたか: 英語教育の社会文化史. 研究社.
田崎 清忠. (1995). 現代英語教授法総覧. 大修館書店.