Podcast: Play in new window | Download
Subscribe: RSS
インタビューの中から、英語学習のタネを拾って蒔いてみるコーナー。今回は#10.から、「Room for cream?」についてです。
立石 亮さんが、「試験のリスニングはできても、アメリカで生活してみると英語が“聞こえない”」というお話の中で、スターバックスの店員が言う「Room for cream?」を例として挙げてくださいました。
前回のSubway同様、検索をしてみると、やはりたくさんの情報が見つかります。「Order Coffee Starbucks」のようにキーワードを英語にすると、なんと5千万を超える記事や動画がヒットしました。これだけあれば、予習はバッチリですね。
「リスニングが苦手」とおっしゃる学習者は少なくありませんが、コーチングを通じてお話をうかがっていると、本当の問題は別のところにあるという場合がほとんどです。たとえば「Room for cream?」なら、コーヒー店でそんなことを聞かれるとは想定していなかったのかもしれません。日本ではカスタマイズの機会がアメリカほど多くないですし、お店で細かく注文するのを遠慮する傾向があります。一方、「小さなことでも自分で選択し、きっちり伝える」というのはアメリカ的。こうした文化の違いを理解していないと、たとえ「Room for cream?」が聞こえたとしても、質問の内容が理解できません。
“聞こえない”という場面には、ボキャブラリーや文法の力不足が絡んでいる場合もあります。知らない単語を言われたら、理解できないのはあたりまえ。また、構文を捉える力が弱いと、文のどこに大切な情報が入っているか見逃したり見誤ったりしやすくなります。逆にいうと、“聞こえない”は新しい語や表現を学び、自分の文法力を確認する絶好のチャンスなのです。
「でも、『Room for cream?』の場合は『room』も『for』も『cream』も、難しい単語じゃないよな」と思いましたか? よく知っている語が“聞こえない”場面では、「あぁ、あれだ!」と最初に思い浮かんだ意味に飛びついたことが誤解につながっている場合があります。「room=部屋」と一問一答式の暗記で覚えるのではなく、「room」を含む例文にざっと目を通して「room to breathe」「room for growth」などの表現に触れておくと、「Room for cream?」に対して咄嗟に反応できる可能性が高まります。
それでも、“聞こえない”という場面は確かにあります。スターバックスのような混雑した人気店では他の音が邪魔になります。接客表現は店員さんにしてみれば慣れた言い回しですから、早口になりがち。「どんな場面でも、残らず聞き取るぞ!」より、「聞こえなかったら、こう聞き返そう」と準備しておく方が、現実的です。