#22. 木村 綾乃さん(プロフェッショナル・バレエダンサー)

米国ワシントンバレエ団でバレエダンサーとして活躍する木村 綾乃さんに、好きだけど嫌いになりかけた英語学習、イタリアでの経験、「もうイヤ!」となったときに再びやる気を起こすコツなどについてうかがいました。

木村 綾乃 Ayano Kimura

京都市出身。9歳からバレエを学び15歳で単身イタリアのミラノに2年間留学、首席で卒業。冬季トリノオリンピックの開会式では選抜メンバーに入りバレエを披露。

留学前にはニューヨークで毎年開かれている国際大会、数々の国内大会にて上位入賞、同時に東海テレビ賞を受賞。2011年にワシントンバレエ団入団。2017年度ブノワ授賞式(バレエ界のアカデミー賞)のガラ公演ではボリショイ劇場にてノミニーのパートナーを務めロシアの各紙に掲載される。バレエ団では主に主役、ソリストを踊り、’ロミオとジュリエット’ではジュリエット役、’眠れる森の美女’ではオーロラ姫に抜擢されケネディセンターにて主演し高く評価される。年間を通して日本、アメリカ、ヨーロッパでゲストとして多数の公演に出演。

最近ではワシントンバレエ学校にて若手育成の為の指導にもあたり活動の幅を広げており、今までのバレエ人生が共同通信社のコラム始めヤフーニュースやlive doorニュースで取り上げられる。

The Washington Ballet
共同通信インタビュー

Emi
自己紹介をお願いします。

Ayano
京都出身で、10歳頃からバレエを習い始めました。15歳のとき、国際大会でスカラーシップ(奨学金)をいただいたのをきっかけにバレエ留学に行き、イタリアのミラノ・スカラ座という有名な劇場の付属学校で2年間勉強しました。

日本に帰った後、もう一度同じ国際大会に出て、今度はアメリカのワシントンから奨学金を得ました。ワシントンのスクールに留学し、その後はオーディションをいろいろ受けて、現在所属しているワシントン・バレエ団からオファーをいただきました。以降10年間、プロフェッショナル・バレエダンサーとして活動しています。

Emi
イタリアからアメリカへ。そして現在もアメリカで活躍中。お生まれは京都?

Ayano
生まれはドイツのハンブルクなんです。その時の両親の都合で、たまたまドイツで生まれたんですが、1歳になる前に帰ってきているので、「出身は京都」と言っています。大会に出たのは、高校1年です。

Emi
ご両親が外国語を話すなど、家の中でも外国語を聞く機会があった?

Ayano
はい。両親はドイツの前にニューヨークにいたらしいので、たぶん英語は話せると思います。また、母が公文の先生なので、その影響もあって小さい頃から英語のリスニングをしていました。日常会話はすべて日本語でしたけど、公文の教材や、母がよく聞いていたクラシック音楽から、英語を聞くことが多かったです。

 

家の中に、自然に英語があった

 

Emi
英語と出会ったのは、いつごろだと思う?

Ayano
3~4歳から公文の教材をしていたので、その頃から英語に触れていました。また、英語検定も受けていました。英語はある程度、身近な存在でしたね。

Emi
「気づいたら英語をやっていた」という感じ?

Ayano
そうですね。でも、やっていたのはライティングとリスニングのみだったので、実際に英語を話すようになったのは、アメリカに来てからですね。

Emi
公文ではどんなことを?

Ayano
中学で習う基礎からです。ABCの書き方や、「This is a pen.」などのベーシックな英語をひたすら書いて、記憶して。そこから文法を広げて、「be動詞」「過去分詞」など。中学で習うことを先取りして、小さい頃から勉強しているという感じでした。


レベルが上がってくると、大学で聞くような単語もありました。今でこそわかりますけど、「当時は絶対に意味がわかっていなかっただろう」っていう単語もいっぱい出てきていました。

Emi
それは、好きだった? 楽しかった?

Ayano
英語はとても好きでした。その頃、たまに公文の教室に外国の方がいらっしゃっていたので、ネイティブの方の英語を聞くのが新鮮で、「楽しいな」と思っていました。

Emi
英語は「勉強」というより、「楽しい」と思っていた?

Ayano
そうですね。私、勉強ってなると、もう大っ嫌いなので(笑)。数学や社会と違って、英語は勉強というより、「第二言語」として楽しんでいました。

Emi
英語を使う機会もあるし、学んでいても楽しい。すごくスムーズなスタートだったんですね。

 

英語だけは、さらっとできて、楽しかった

 

Emi
公文は算数のイメージが強いですけど、英語が好きだった?

Ayano
算数、国語、英語の3教科があります。全部やらないといけないわけではないんですが、私の場合は母が先生だったので、昔から全教科やっていました。

私、英語だけは、はかどってたんです(笑)。他の教科は、5分でできる教材を1時間ぐらいかけて、途中で寝てしまったり、泣いたりしながらやってたんです。でも、英語だけは苦痛じゃなく、さらっとやっていました。

いろんな単語がわかる、ボキャブラリーが増えるというのが楽しくて。あと、計算しなくていいから(笑)。算数は計算が苦手で、国語は読まなくちゃいけない。でも、英語は考えなくてもできるというか。さらっと頭に入ってきちゃうので、楽しかったですね。

Emi
英語は大嫌いで、算数が大好きという子もいるので、それぞれですけどね。

Ayano
それは逆にうらやましいです。(笑)

Emi
幼稚園の頃、どうやってボキャブラリーを広げていたか、覚えている?

Ayano
「pen」「chair」など、身近にあるものを見ると、英語が出てきちゃうという感じでした。「これは英語でこう言うんだったな」と、いろいろ見つけられるのが楽しかったんだと思います。

Emi
公文で習った単語が頭に入っている状態で、実物を見る。すると、「これがあの言葉だな」とつながる感じ?

Ayano
単純に言ってしまえばそうですね。自分が知っていることを、口から出すのが楽しい。吸収しているだけでは限界があると思うので、自分から「これは、こう言うのか」と出していくのが楽しかったんです。

Emi
なんか単純なことのようにおっしゃってますけど、これ、ものすごく大事なこと。覚えた単語が現実世界とつながらないこともあるけれど、綾乃さんには、英語学習をスタートした時から、「この言葉が、このモノとつながっている」という感覚があった。

Ayano
そうですね。もうつながっていました。ちっちゃい子って、英語に限らず、「これ、何だろう?」と興味津々じゃないですか。たぶんそういう感覚で、「この言葉は何だろう」と、言葉とモノをつなげる楽しさがあったんだと思います。

Emi
実際に触れるなどして、言葉の意味するところとモノがつながっていく。それが習得につながった?

Ayano
すごく堪能な英語を聞いても、パンクするだけなんです。でも、簡単な単語なら、身近で覚え甲斐もある。私はミラノに留学していた時にイタリア語を学んだんですけれど、小さい頃の英語の覚え方が、イタリア語の時にも活用できました。

 

「楽しい英語」と、「勉強の英語」

 

Emi
英語検定というのは、 いわゆる英検?自分で「受けよう」と思って受けた?

Ayano
いえ、それはもう、母が(笑)。私はそんなのがあることも知らないので、「なんで受けなきゃいけないんだろう」「ただのステータスかな」と思っていました。「気づいたら、やらされていた」というのが正しいかな(笑)

Emi
何歳ごろに何級を受けたか、覚えている?

Ayano
受験生の中で私が一番ちっちゃくて、母がギリギリまでついていないといけないという感じでしたから、4~5歳だったと思います。

名前も「どこに書くんだろう?」というような感じだった記憶があります。周りは小学生や中学生で、たぶんもの珍しかったんだんでしょうけど、「誰だ、この子は?」という感じで見られていたのをすごく覚えています。字を書くこともままならない。でもマークシートなので、「塗りつぶしていれば大丈夫」と。(笑)

Emi
(笑)いやいや。それで合格した?

Ayano
5級と4級に合格しました。

Emi
それは「英語ができるようになった」という感覚だった?

Ayano
というよりも、それまでの勉強が大変だったので…。最初はもちろん楽しく勉強していたんですけれど、「受からないといけない」というプレッシャーが強くて。「猛勉強した」というのを覚えています。だから、どちらかといえば「受かって良かった」「やっと終わった」という安心感ですかね(笑)。

試験が何につながるか、意味もわかっていなかったので、ちょっと葛藤がありました。「とりあえずこれで勉強は一段落」と思ったんですが、合格したらまた次が来ちゃうので、「これは永久に続くんだな」って。(笑)

Emi
お母さんも強いですね(笑)。

Ayano
そうですね。母もそういうところは強かったと思います(笑)。

Emi
単語を覚えたり、英語で言ったりする喜びを知っているお子さんでも、だからといって、試験のための勉強を楽しめるわけではなかった。

Ayano
試験となると、やっぱり強制的にしないといけない。「やらされる」となると抵抗感があったんです。自発的にするものは楽しくできるんですけど、「これをしなくてはいけない」と言われると、やる気が起きないですね。

Emi
「楽しく覚えていく英語」と、「試験の英語」は、別のものという感覚だった?

Ayano
あぁ、そうですね。それは今でもそうです。私は文法をあまり気にせず、結構ニュアンスで、ぶわーっと話したいだけ話すんです。ストレス発散みたいなもので、何も考えずに話せるのが楽しい。

でも試験となると、「過去形じゃなくて、過去分詞じゃなくてちゃいけない」とか、ちょっとでも文法が違うとダメ。そういうことを考えながらやるのはストレスになります。

「考えずにできること」と、「考えなくちゃいけないこと」。その違いは、私の中ではだいぶ大きいです。試験となると、「間違えてはいけない」というのがありますから。

Emi
「話す」と「書く」、あるいは「英会話」と「英文法」が、くっきり2つに分かれていた。

 

英語嫌いになっていたかも

 

Emi
日本の中学での英語はどうでしたか?

Ayano
中学の英語は基礎でわかっていたので、それぐらいであれば楽しくできました。「私、これ知ってる!」みたいな、たまに上から目線になるぐらい。でもやっぱり高校英語となると、自分が知っていること以上のものが出てくるので、「いや、これ習ってなかった」。

たぶん中学英語は楽しんでやっていたと思うんですけれど、高校英語になると単語が難しくなり、文法も変わってきて、少しつまずきがありました。

Emi
学校の英語は「ちょっと頑張らなくちゃいけないタイプの英語」。でも、中学レベルなら先取りしてあったので、楽しく乗り切れた。ただ高校に入ると、ますます「試験向け英語」の傾向が強くなってきた?

Ayano
「ここは絶対に、こうでないといけない」「これは、ここに入らないといけない」という文法があまり好きじゃなかったです。もちろんそれは勉強しないといけないことなんですけど、私としては楽しくしゃべる英語が好きだったので、高校ではつまずいてましたね。

Emi
たまたま綾乃さんはそこで日本から脱出していますけど(笑)、もしそのまま日本の高校で英語を続けていたら、英語嫌いになっていたかもしれない?

Ayano
それはあると思います。 ちょうどその時、自分のやりたい趣味の道を進むか、勉強するか、二択を迫られ、「勉強は、どれだけやっても無理だ」と思いました。そして、「だったら、今ちょっと飛び抜けている、自分がやりたいことをやった方が伸びるんじゃないか」と。それでたまたまそっちに行ったんですけど、どちらかというと「勉強しない方を自分で選択した」という感じです。

 

バレエと外国、外国語

 

Emi
中学校卒業するごろには、すでに「バレエでやっていく」という感覚があった?

Ayano
中学では、まだなかったです。中学生の頃はまだ「文武両道がいい」と思っていました。高校に入ってからも、そんなにバレエの方で伸びなかったので、「いずれはバレエを減らしていくんだな」と思っていたんです。

そんな矢先、たまたま奨学金がもらえました。高校1年の終わりというタイミングです。それが決心するきっかけになりました。それがなければ、たぶんずっと勉強していたと思います。


バレエに進むことを計画していたわけではありません。もちろん、「留学したい」「将来プロダンサーになりたい」という気持ちはありました。でも、「現実と、自分の思いは違う」とわかっていました。繰り返し大会に出ても賞を取れなかったりすると、「自分はダメなのかな」と思うこともありました。高校生になって、奨学金というきっかけをもらうまで、どの道に進むかは全然わからなかったです。

Emi
留学など、外国が視野に入っていた。「バレエが、外国や外国語につながっていく」と感じていた?

Ayano
海外から先生が教えに来てくださることがあるので、その時は英語を使っていました。バレエ用語はフランス語やロシア語など、いろいろな言語が組み合わさっていますが、バレエの世界の共通言語は英語。レッスンを受けるときは全部英語を使っていました。それは苦痛ではなかったです。

それから、国際大会に出ると、いろんな国から来ている人たちが周りにいるので、その人たちと英語で話す機会がありました。お互い第二言語なので、身ぶり手ぶりで。そういうことを通じて、また英語に対する楽しさが出てきました。

Emi
日本に住んでいる高校生のうちから、国際大会で外国人と話す経験があった?

Ayano
大会となるとお互い踊りに集中していますし、緊張もしているので、軽い挨拶程度で、あまりベラベラ話すことはありません。でも、時間があるときには「どこの出身?」などと話すこともありました。英語を話すようになったのは、そのあたりからだったと思います。

 

「言語を勉強しに来たんじゃないのに」

 

Emi
その後イタリアへ。イタリア語の勉強は、日本を発つ前から?そこで、小さい頃に英語で使っていた方法が役に立った?

Ayano
留学が決まってから、実際にイタリアへ行くまでの半年間で、いちおうイタリア語の基本を勉強しました。最初のうちは文法を入れないで、単語から、というやり方。「イタリア語で、これはこう言うんだ」と単語を覚えていきました。

身近なものなど、絶対に使う単語から始めて、挨拶や自己紹介などをどんどん覚えていく。すると、「英語と文法が似てるな」とか、「単語も英語と似ているところがあるな」とか気づく。「だからこうなるんだ!」と、自分で見つけ出せる楽しさがありました。

Emi
言葉とモノをリンクさせる。さらに、英語の知識を使って、似ているところ・違うところを見つけていった。

イタリア語は独学?

Ayano
知り合いのイタリア人に、週2回、教えていただいてました。それ以外は、本を何冊か買ってひたすら書き込んで学びました。

Emi
半年間である程度の準備をして、実際にイタリアへ着いてみて、どうだった?

Ayano
いやぁ…。ホームシックになったのもあって、ちょっと自分を閉ざしちゃった部分がありました。やっぱり勉強したイタリア語と、現地でイタリア語を理解するのは別のこと。「あれだけ勉強してきたのに、なんで何も話せないんだろう」と感じました。

聞き取りはできるので、「これ、わかってるんだけどな」と思ったり、文法をつなげるのに苦労したり。「この単語、覚えたのに出てこない」ということもありました。一度つまずいてしまうと、そこからずっとネガティブになってしまう。一時期、1か月ぐらい、「イタリア語をまったく話さない」ということがありました。

Emi
痛いほどわかります。(笑)

Ayano
「もう、今すぐ帰りたい」、「イタリアに来た目的はイタリア語をしゃべることじゃなく、バレエなのに」という葛藤がありました。「バレエをしに来てるのに、なんで全然知らない言語を勉強しないといけないんだ!」と。

でも、イタリア人は気さくな方が多いので、身ぶり手ぶりで「これは、こうだよ」と教えてくれました。現地でできた友達は当時、英語を全然しゃべってくれなかったのですが、イタリア語で「こうだよ、こうだよ」と教えてくれたんです。それに助けられたかなと思います。

Emi
初めての外国で、「本来の目的は語学じゃないのに、どうしてイタリア語に邪魔されなくちゃいけないんだ」という苛立ちがあった。これは語学留学とは大きく違うところでしょうね。

Ayano
あぁ、そうですね。何を目的にするかによって、大きく異なると思います。

Emi
バレエ仲間の友達に助けられた?

Ayano
当時のルームメイトがいろいろ教えてくれました。イタリアのお気楽な感じで、すごく丁寧に、楽しく教えてくれました。そうするうちに1ヶ月が経ち、私も基本的にポジティブな方なので、すぐ立ち直りました。その後は、もう時間があれば勉強していました。

 

イチから勉強しなおし、すぐ使う

 

Emi
一度は「こんな知らない言語、もうしゃべらない!」。ところが、面白くなってきて、「もっと勉強したい」となった。そのきっかけは?

Ayano
「もうちょっと勉強してみよう」と決めて、もう一度イチから勉強しました。イタリアに来る前の半年間で習ったことを、最初に戻って勉強する。勉強したことは記憶しているので、「ああ、そうだった」と思い出してくるんです。

「あ、そうだ。これ勉強したな」と思い出せたら、私はもう現地のイタリアにいるわけですから、その場ですぐ使えるんです。友達に、「これって、こう言うんだよね」と話すと、「すごいじゃん!」となって。「この前までしゃべれなかったのに、今はすごくしゃべれてるよ」と言われることが、私の元気の源。それがやる気を出させたんだと思います。

日本にいると、自分から話しかけない限り、なかなか現地の方と話す機会はありません。でも、イタリアにいる私の周りには、自然に話す環境がある。「なんでそれを使わないんだ!」と思いました。勉強して覚えたら、すぐに使う。それをやっているうちに、どんどん楽しくなってきました。最終的には、友人たちに「最初のあれは何だった?」「なんであんなに落ち込んでたの?」と言われるほど上達しました。

Emi
悩んでいる時は、永久に暗い日々が続くかのように思ってしまうけれど、のちのち振り返ると、それは最初の、ほんの一瞬の出来事だったりする。

Ayano
本当にそうですね。最初の一瞬が長く感じる。私も当時はそう感じていました。そこを乗り越えれば、あとは本当に楽しくなると思います。

Emi
暗く落ち込んでしまったとき、原点に戻って、はじめてイタリア語を習った時の教材を開くなどした。せっかくイタリアにいて、周りにはイタリア語を話す人がたくさんいるので、使ってみた。すると、すぐに通じた。しかも、そこには褒めてくれる人もいた。やる気になって、落ち込みから抜け出して行った。

Ayano
「環境に助けられたな」と思います。一人では限界があるので、「いかに楽しく勉強するか」というのが、私にとって重要でした。

Emi
落ち込んでいる時って気づかないですけど、いつのまにか一人になってるんですよね。自ら、「来ないで!」と言いながら。(笑)

Ayano
なってます、なってます。(笑)「もう誰も助けてくれない」って。ネガティブに考えはじめると、本当にネガティブになっちゃう。突き放されたような感じで、自己嫌悪に陥る。(笑)

今となっては、あれが自分を強くさせたのかな。今の私はもう、何にも動じないので。「あれがあって良かったな」と思います。

 

つまずいたら、原点に戻ればいい

 

Emi
その後アメリカへ。英語はいかがでしたか?

Ayano
イタリアでの経験から、「つまずいたら原点に戻ればいいんだ」という知識がありました。英語は昔からやっているので、「つまずく」ということもなかったですけど。

それでも、すごく速く話す人など、ネイティブの英語が聞き取れないことがありました。そういうときは、全部わかろうとせず、いったん置いておいて、知っている単語だけをもう一度思い出していました。全部わかろうとするのは絶対無理なので。

単語だけをつなげていけば、「こう言っているんだな」と想像できる部分があります。「この単語と、この単語が出てきた。ということは、こういう感じか」と。自分の勉強法がわかっていて、それを続けていたので、問題はなかったです。そんな感じで、今も結構ニュアンスでやってるんですけど。

Emi
イタリアで、10代のうちに一番しんどい思いをした。それほどのことはアメリカでは起きていない?

Ayano
そうですね。イタリア語は、わざわざ習わないじゃないですか。(笑)なので、英語の倍ぐらいしんどかったんですけど、英語は昔から習っていて、常に周りにあったので、ラクだったかなと思います。

Emi
綾乃さん自身の強さも、関係していますよね?

Ayano
それはあるかもしれないですね。でも、私はそんなに強くないと思います。自分の意思とはいえ、一人で海外へポンと出てしまい、「なんでこうなったんだろう?」と思うことが多々ありました。そういう局面を、どうポジティブに乗り越えるかが大切です。もちろん家族や、現地で知り合った日本人の方のバックアップなど、「周りに支えられている」と実感します。

Emi
綾乃さんは謙虚に、「英語はニュアンスでやっている」「全部はわからない」と言う。それ自体、なかなか言えることじゃないと思いますよ?

Ayano
(笑)本当ですか?

Emi
文法項目にしろ、“100点満点の完璧”で行く方がラクな面があると思う。ルールどおり、正しくやっていれば自信がつくから。「全部わかろうとしていません」とはっきり言えるのは、大きな強みだと思います。

Ayano
(笑)なるほど。そう言ってくださると、すごく嬉しいです。

Emi
もちろん言語以外の武器があるというのは、大きいですよね。

Ayano
何か好きなことがあるのは大事です。勉強でも、勉強の中の何が好きなのか。それと自分の趣味がつながっていると、さらに楽しくなって、どんどんつながっていきます。

Emi
たとえば、今アメリカに初めて降り立って、「日本で勉強してきた英語が全然通じない!」となっている人に、どんな言葉をかけますか?

Ayano
私の個人的な意見ですが、「全部わかろうとしないこと」。初めてなのに100%全部わかるなんてことはありえない。とりあえず、100の10わかるようにする。

単語も「10個全部」ではなく、「とりあえず10個中の2個だけ覚える」など、どこまで自分ができるか、自分でルールを作っていくことが大事だと思います。無理矢理やろうとしない。イヤだったらやらなくていい。あとからポジティブに戻ることは必要ですけど、「やらなくちゃ」と思えば思うほど苦痛になるので、いったん置く。

私の場合は、「1日、何もしない」と決めることがあります。まあ1ヶ月となるとちょっとダメですけど、「丸1日、英語に触れない」とか、「1週間で2単語ぐらい覚えてみようかな」とか。自分を甘やかすというか、いつもの精一杯よりも、少し抑えてあげる。

それでリラックスできれば、そこまでに頑張ってきた部分は必ず残っているので、「戻ろう」という気が起きます。一度落ち着いて、自分に少し余裕をあげてから、また頑張る。それを繰り返していけば大丈夫かなと思います。

Emi
素晴らしい。「追い込みすぎず、無理だったら時々休んでもいい。でも、またポジティブな気持ちに切り替えて、戻っていく」。それを繰り返していくと、いつのまにか…

Ayano
できるようになっています。それは英語だけじゃなく、趣味やスポーツでも同じです。

毎日ずっとやり続けるって、すごいこと。もちろん実際にやっている方もいらっしゃって、私はとても尊敬しています。でも、途中で絶対に「イヤだ」と思う瞬間はあると思うので、そうなった時にどう対処するか。私の場合は、ちょっと休む。自分には基礎の部分があって、絶対そこには戻れる。ゼロになることはまずない。だから、「自分に余裕をあげる」というやり方です。

Emi
力強いお言葉。やる気になる人が絶対にいると思います。本日はありがとうございました。

Ayano
やる気になっていただければ本望です。ありがとうございました。

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